久々の休暇で家に帰ってきたら

ラクスがいつもの1.7倍(比)の笑顔で出迎えてくれた

「た・・・だいま、ラクス」

「おかえりなさいませ」

「何かいいことあったの?」

「ええ、アスラン様が先日お会いに来てくださいましたの」

ああ、とわたしは頷いた

そういえばこの間の通信でヴェサリウス組みは先に休暇に入るといっていた

(休暇前半にラクスに会いに来るとはさすがアスラン)

「ふふふ、それでですね・・・」

ラクスは回りに花が咲き乱れそうな顔で笑う

後ろに隠していた手を差し出した

「可愛いくありません?ピンクちゃんて言いますの!」

あたしの目は点になった


ピンクちゃん?

ピンクちゃん??



ラクス

この球体は何ですか?



そん時はなんだこれ?って本気で思ってた














call番外編2【プレゼント】















「いい加減にしろアスラン!!」

「仕方ないだろ!!文句をいうならイザークは探してくれなくてもいいよ、別に頼んでもいないし」

「なにぃ!!俺がわざわざ手伝ってやってるのに」

「はい、ストーップ!!そんなことしててもハロは出てこないんだから」

二人の間にがはいる

ばちっと睨みあっていた二人が顔をそらした

「とりあえず探そう、とりあえず喧嘩はそれが終わってから!」

「・・・お前止めたんじゃないのかよ」

今まで黙っていたディアッカが口をはさむ

「あたしに被害がこなければそれでいい」

「・・・俺的には全くよくないよ」

ディアッカは肩で大きく溜息をした

「ご愁傷様・・・ん?イザーク何処行くのよ」

ディアッカの話に気をとられているとイザークが背を向けている

「ふん!俺は知らん!貴様らだけで探せばいいだろ!」

「ちょっと〜!!イザーク!!」

イザークは踵を返すとさっさと行ってしまう

「まったく困ったやつだ」








「じゃあ、そういうことだから。悪いけどよろしく」

ひと通りアスランはハロの説明を終えると皆に頭を下げた

「はい、分かりました。紺色の手のひらサイズの球体ですね」

「ああ。・・・あと、少し動くから気をつけて」

「大丈夫ですよ!ちゃんと捕まえてみせます!!」

ニコルが両手を握りガッツポーズをみせる

「・・・ところで気になってたんだけど、ラスティ、それ何?」

「虫取り網」

「そうじゃなくて」

「いやーやっぱり捕まえると言ったらこれでしょ?

 まぁ見てなって、マテュース市で虫取りのラスティと恐れられた男だぜ!」

(何で虫取りで恐れられんのよ・・・)

ラスティはカンラカンラと笑う

あたしは据わった目でこいつには期待できないと思った


ハロの捜索にはあたしとアスラン組とニコル、ラスティ、ディアッカ組みに分かれる


「ハロちゃ〜ん。どこですかハロちゃ〜ん」

あたしの呑気な声にアスランは溜息をついた

って悩み事なさそうだよね」

「アスランは悩み事多そうだよね、ほら」

そう言ってあたしはアスランのおでこをさす

アスランはむっとしてあたしの手を掴んで下ろさせた

「ああ、そうだよ、俺はと違って悩み事がたくさんだからね!」

おでこを指したのが少し気に障ったのかアスランは吐き捨てるように言う

「だからラクスにも何をあげようか迷って喜んでくれたハロを何個もあげたわけだ」

アスランはちょっとんとしてすぐに真っ赤になって顔を背けた

「ラ、ラクスは関係ないだろ」

「赤くなっちゃって〜純情なんだから!ラクスの頬にちゅーまでしてるくせに!!」

「!!!!!なんでそれを!!!」

「あたしく、ラクス・クラインの義姉妹ですの」

わざとすまして言うあたしにアスランは更に真っ赤になってしまった

(アスランもからかうと面白い)

そう思ってにこにこしているとアスランが顔をあげる

そこにはさっきまでの動揺はなかった

「はは〜ん、分かった。はラクスが羨ましいんだ」

あたしは一瞬頭を捻る

「あ、そうかも」

「へ」

アスランから間抜けな返事が返ってきた

「あたしそうやって人につくしてもらったことないし」

心なしかアスランがガックリしている

「・・・期待した俺が馬鹿だったよ」

「あ?なんか言った?」

「なんでもないよ」

その直後、視界に跳ねる紺色の玉が目に入った

「アスランあれ!!」

角から出てきたのは紛れもなくハロ

「待ちやがれ!球体!!」

それに少し遅れて虫取りのラスティが網を振り回して飛び出してくる

その後にディアッカ、ニコルと続いた

「あたしたちも急ごう!アスラン!!」

先に走っていったラスティたちを追いかけようと走り出す

隣りに並んだアスランが急に口を開いた

「・・・何が欲しい?」

「あ?何いってんのアスラン??」

の誕生日!」

「なんで?」

「誕生日なんだから何か送ってもいいだろ?」

話しながら走っていてもさすがと言ったところか、もうラスティたちに追いつきそうだ

「その話は後で!!ごめん!ハロ先ね!!!」

先にハロが角を曲ってしまったらまたややこしくなる

その角から先はもっと複雑になっているのだ

しかしあたしは思わず足をとめた

「イザーク!?」

(やっぱりねあいつの事だから・・・こーゆーことすると思ったよ)

何故か最初に去ったはずのイザークが先回りしていたのか角から姿を表す

ディアッカはその姿を確認すると呆れたように溜息をついた

「ふん!見ろ、俺が少し本気になれば、こんな球た・・・グワッ!!」

その時時間は止まった

あたしは窮地に追いいった人がよく

「本当にスローモーションみたいになるんです」

と言うのをを実感していた


跳ねて逃げていたハロが

角から出てきたイザークの

みぞおちに

思いっきり飛び込んでいったのだ


「イイイイイ痛い・・・痛い・・・!!」

イザークの声によってそのスローモーションは解かれ

床に転がって、のた打ち回るイザークが目にはいる

「あちゃー」

ディアッカは眉を寄せ頭を掻いた

あたしはというと

イザークを弾き飛ばし

勝ち誇るその姿に

見入ってしまった

「・・・格好いい」

「なんでそんな答えになるかな?」

後ろからアスランも思わす突っ込みを入れる

「決めた!」

「え?何を?」

あたしはアスランの腕を掴み

「アスラン、さっきの誕生日プレゼントの話」

「あ、ああ。何?」

「あの子の目覚ましが欲しい!!」

そう言った直後、イザークの横で跳ねていたハロがポンっと飛んできた

「え?これでいいの?」

「うん。これが欲しい!!飛んだり跳ねたり余計なこと喋ったりしなくていいから

 目覚ましが欲しい!!」

「・・・作りがいがないじゃないか」

アスランが顎に手をやってそう呟く

「あ・・・いや、別に目覚ましがちょうど欲しかったのよ!だから」

(そのものはあたしには荷が重いっての)

内心これ以上押されたらどうしようかと思っていたが

アスランは以外にも「そうなんだ」と言ってあっさり引き下がってくれた



「お〜い、お前らいい加減、イザークマジ泣きしてるからこっちもかまってやれよ」

蹲るイザークに寄り添ったディアッカがそう言った


「・・・が出てきたら大人しくなるなんて・・・」

ニコルが先に居たアスランをちらりと見る

「だな。さすがご主人様を理解してらっしゃる」

「全くです・・・というかそっくりですよ」

ラスティとニコルが後ろでこっそり呟いていた












数日後、あたしの誕生日から二ヶ月も前だというのにアスランがリボンをかけたハロを持ってくる

「・・・これ、この間約束したやつ・・・その思ったより早く出来ちゃったから・・・」

(くまできてますよ、ザラさん?)

ここ数日あっていなかったと思えば訓練、製作、訓練、製作だったのだろうか

そんなアスランとプレゼントを交互に見て何だかおかしくて嬉しくて笑ってしまった

そんなあたしの様子を見てにっこりと笑う

そんな穏やかな雰囲気の中あたしはふと思い出す

たくさんのハロと戯れるラクスの姿を

そしてその光景が一瞬自分の顔とすげ変わる

嫌な予感がした

(まさかやめてくれよ、アスラン)

そう思いながら震えた声でお礼の言葉を搾り出す

「あ、ありがとう」

「どういたしまして」

いつもなら優しく綺麗なその笑みがどうしてか怖くて仕方なかった




あたしの心配は取り越し苦労だったらしくその後、それ以上のハロが送られてくることはなかった









更に余談だが

その後、イザークに突っ込んでいった勇猛果敢なハロに

ラクスがひげを描いていたことは次の休暇まで知らなかった





『ハロハロ!オキロ!ジカンダ!!テヤンデェ〜』











    TOP