センチメンタルになるんですよ、女の子は








イザーク、あんたみたいに感情を剥き出しに出来たらよかったし



ディアッカ、あんたみたいに世渡り上手ならよかったし



ニコル、あんたみたいに素直に可愛く笑えないし









あたし、彼との共通点といったら


軍人


ということだけ







ああ、何だか葛藤だらけなんです



それでも唇に残る感触は確かなんです













触れた先には・・・














「あっれ〜?機嫌悪いじゃん、

トレイをもったディアッカがの頭の上から声を降らす

「いまのあたしはナイフのように危険なの、危ないの、すぐ切れるの」

「何それ?」

ディアッカは、はははと笑うと正面に移動して腰を下ろす

は顔をトレイに向けたまま大きくため息をついた

いつもの様子とはまったく違うにディアッカは頭を掻いた

「いやさ、冗談はさておき本当にどうしたんだよ。さっきの訓練じゃ・・・6回は死んだぜ」

今日のMS訓練は「正面からの突破」

イザークとラスティと組んだはこ攻め込んできたディアッカ達、残りの赤服に撃たれ撃沈させられた

の尋常じゃない腑抜け具合にイザークが烈火のごとく怒鳴りつけていたが

まったくの心ここにあらずの状態だった


は視線をトレイから外して遠くを見ると零すように喋りだした

「なんていうのかな?・・・そうそう木の葉が落ちたらあたし、死ぬのね。みたいな」

「余計わからねーし」

ディアッカは手を上げる

「これ、あげるわディアッカ」

そういって脇についていたプリンを差し出す

ディアッカはありえない光景に目を疑った

(いつもならイザークから死ぬ気で奪うプリンを渡すなんて!しかも自ら!!)

生地のしっかりした軍服を着ているにも関わらず

ここはクーラーが効きすぎなのではないかというぐらい身震いした

身を乗り出して反対側のに耳打ちする

「あのさ、もしかして二日目?」

「だったらどれだけいいか・・・」

はゆっくりと首を振るとまた遠い目をする

「重症なわけね・・・あ、アスランとニコルだ。おーい!お前らも食事?」

びくり

「ディアッカ!それにも一緒だったんですか?」

「俺たちもこっちで食べていいかな?」

びくり

「ああ、いいぜ。まだイザークもいな・・・」

「ごちそうさまでした!!」

「え?あ・・・?」

「あたしはもうお仕事に戻りますので皆さんで楽しんでおくんなまし」

周りが声をかけていくがそれを振り切って急ぎ足で食堂を出て行ってしまった

「何かしたんですか、ディアッカ?」

残された男三人が顔を合わせる

「人を色欲魔みたいに言わないでくれる?」

「・・・俺、ちょっと」

「え?ア。アスラン!?」

トレイをぶつけるようにしてテーブルに置くとアスランはの後を追う

ニコルが声をあげたときにはもうすでにドアは閉まっていた

「どうしたんでしょうか、アスランもも」

「・・・ああ、なるほどね」

一人納得したように頷いているディアッカ

その意味深な笑いに首を傾げながらニコルは席についた

「?何がなるほどなんですか、ディアッカ?」

「あ〜まだニコルには早い話かな」

なんですか、それ。と少し膨れてニコルはトレイの上のパンを掴んだ

ディアッカはからもらったプリンのふたを開けて口へとはこぶ

「いや〜まったくお騒がせな二人だ」


















!!」

アスランの声と同時に腕をつかまれる

「何でそんなに俺のこと避けるの?!」

「さけてないよ」

「嘘だね。だったらこっち見て話しなよ」

「遅れるから放してよ」

「こっちを見たら放す」

アスランがそういうとしぶしぶは振り向いた

「俺、何かした?」



何かした



したわよ



すっごいしたわよ!!



あんたがしてきたキスのお陰で



思いっきり悩んで



食事も喉を通らなくて



今まで成功したことのないダイエットまで出来ちゃったわよ



生半可にあたしも好きだから余計悩んじゃって・・・




は思いっきり睨みつけた

アスランは一瞬たじろいでいたが

「あの、ごめん。俺、ちゃんと言ってなかったから・・・」

と言った

「ちゃんとって?」

「俺、の事好きだから」

真剣な顔だったがさらりと言われては動きを止める




その立った一言の答えのために悩んでたのよ



分かってたわよ



だって本当は伝わってきたから



十分






そのキスから

「好き」だって







それでもあんたには婚約者がいて



でもあたしの気持ちもあって





だからって・・・





でも・・・




視界がゆらゆらしてきた

十分泣いたはずなのに、とは制服の袖で顔を拭った

「あんたに好きっていわれたって・・・だって・・・」





アスラン分かってくれる?




あたしのこの気持ち?




は心の中でそう呟くとアスランの顔は少し赤くてすごく真剣で

「俺を信じて」

それだけ言って



キス



してきた


悔しいけどそれで全ては収まっちゃうんです











女の子は時々酷くセンチになるんです



そんな時、何も言葉は要らないから


キスを一つ下さい





それで全部、伝わると思うから








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