皆がラスティを馬鹿だと言う。
何の気もなく廊下で外をみていた。
真っ黒い宇宙に穴がいたように星が煌いている。
さっきの戦闘でジンが三機も落とされた。
彼らは何処へ行ってしまったのだろうか。
この闇に吸い込まれてしまったのだろうか
「この宇宙(そら)の果てに何があるんだろうね」
「わ!!」
急に肩を抱かれて驚いて声を上げてしまった。
「ラスティ、ビックリするじゃない!!」
「それが狙いですから」
「・・・悪趣味。」
じとりと睨み付けたが、ラスティにそんな攻撃はきかない。
ラスティは鼻歌を歌いながら自分の隣へ立った。
「ねぇねぇ見てみなよ、あれがロィル、あっちがジュドー、でもってそれがキングス」
上げられた名前は全てさっきの戦いで死んでいったものだ。
怪訝そうに眉を寄せた。
「何言ってるの?」
「皆、お星様になったんだよ。でも、大丈夫。悲しくないよ、皆そこにいるんだから」
そう言って星星を指す。
ね、とにっこりと笑った。
どうもこの笑顔には弱い。
「・・・ったく、ばっかじゃないの」
「ねぇねぇ、ちょっと俺、詩人ぽかった?」
「ああ、ラスティ、あんたは大者なるわよ」
馬鹿馬鹿しくなった私はラスティの肩をぽんぽんと二回叩いた。
「あはは、世界が俺を呼んでいるのだ!」
あははと笑うラスティにつられて私もいつの間にか笑ってしまっていた。
そして、死んでいった彼らの事を思い出し、涙が零る。
「わたし、何にも出来なかった」
宙を舞っていた水の玉がラスティの頬にぶつかる。
慌てて涙を擦った。
「俺も死んだら星になるんだ。その予定」
「・・・死ぬなんて言うな」
「星になったら、こうやってそばにはいれないけど、いつでも見てられるよ。
だから、泣きたい時は泣いてもいいんだ」
「泣かないわ。それにあんたは殺したって死なない。・・・死なせないわよ。」
「強情っぱり」
「なんとでも言いなさい。」
ずずっと鼻をすすった。
ラスティは汚いなーとまた笑った。
私は踵を返すとラスティを指差した。
「あんたが泣きたい時はあたしは笑ってやるからね!!」
「期待してますよ〜」
間延びした声で返事を返すラスティがいつもと違った顔で笑っていた。
本当に嬉しそうに
それが交わした最後の言葉。
私はガモフへ戻り、その2週間後、ヘリオポリス行きが決まった。
皆がラスティのことを馬鹿だと言う。
いつでもへらへらしていて、お調子者で、
それでも皆に好かれている。
なぜなら彼の行動全てが相手のことを考えてるからこそなのだ。
私はそんな彼を愛すべきいとおしいバカだと思っている。
|
|