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○の部屋に集まっていた赤服のメンツはその光景に目を疑った 「こちらクルーゼ隊所属、アスラン・ザラ」 普段であったらこういうときの伝令はオペレーターが行うはずなのに目の前のモニターにはアスランがいる 「・・・何でこんな事アスランがしてるわけ?」 「さあ?」 ○とディアッカが顔を合わせながらひそひそと呟いた 「急を要することなのでヴェサリウスから直接通信を入れた 予定どうりガモフは6時間後ヴェサリウスと合流する。その前に○はガイアに乗り、先にこちらに乗艦してくれ」 アスランの言葉に皆、それぞれの表情で納得いかない顔をする 一番に口を開いたのは他でもない当人の○だった 「・・・なんで?」 「それが相手の条件だから」 アスランが表情も変えずそう言う 「相手・・・?」 「何を言ってるんだアスラン!貴様、それで納得が行くと思っているのか!?」 モニターの前にイザークが乗り出てくる 「仕方ないだろう、相手から・・・」 「貴様ぁ!」 イザークがモニターに食いつかんばかりの勢いだ ニコルとディアッカが慌てて止めようと立ち上がる 「イザーク、アスラン!」 しかし○の声で全員動きを止めた 「・・・分かったから。うん、これから出るよ。ガイアなら2時間ぐらいで行けると思うから」 「○!貴様!!」 「イザーク五月蝿い。それって・・・地球軍からなんでしょ?」 周りに焦りの色が見えた モニターの中のアスランの顔がはじめて曇る (・・・やっぱり) あえて感情を抑え事務的にしようとしているのがばればれだと○は思った 「○、皆にはあの話してある?」 「ここのメンツには、さっき。一応ね・・・」 アスランは一度唇を噛む 「・・・ラクスが見つかったんだ」 どうかこの声が 貴方に どうかこの声が 君に 届きますように あまりの突然な出来事にただただ震えるしかなかった 「おい、落ち着けっての!」 ディアッカが少し乱暴に両肩をゆする 「・・・ディアッカ」 「あ~頼むから、ちゃんと説明してくれ。ラクス・クラインがどうしたって?」 ○は顔を擦るとニ、三度大きく深呼吸をした 「ラクスが・・・ラクスが追悼慰霊式典の準備のためにユニウスセブンに向かう途中に消息を絶ったて・・・」 「え?」 「・・・捜索にでたジンからも連絡がないらしくて」 「そんな、まさか・・・」 「ラクスが・・・そんなこと・・・あたし、嫌だ・・・」 また、目に涙を貯め震え出す ディアッカの目の前には今まで見たことのない○ こんなに弱弱しく泣く奴だっただろうか 「お前しっかりしろよ!ラクス・クラインはお前の姉なんだろ!」 ディアッカは無理に視線を合わせた 「だったら大丈夫だって!お前の姉だ、簡単に死んだりしないって!」 動揺していた瞳に落ち着きが見えてくる 「大丈夫だ」 もう一度確かめるようにゆっくり言った ○は目をつぶって息を整える 「・・・そうだよね。あたしが慌ててもしょうがないよね」 「とりあえず落ち着けよ。そしたらあいつら呼ぼうぜ。なんだったら全員で隊長に直談判っていう手もあるだろ?」 ディアッカがいつもの飄々とした笑みを浮かべる 「ははは、でも皆には迷惑かけられないよ」 (ったく、またふざけたこと言いやがって・・・) まだ分かんないのかとディアッカは眉を顰める お前のためなら俺も含めあいつらはいくらでも駆けつけるぜ? お前は目の前の事しか見てないから気付かないかも知んないけどね ディアッカは大きな溜息をつくと 「何のための仲間だよ?」 と悩んだすえ、ディアッカは苦し紛れにそう言った ○は嬉しそうに少しだけ微笑んだ 「あんがとディアッカ」 数時間後、○の部屋にイザーク、ディアッカはすでにいた イザークが組んだ足を揺らす 「イザーク、貧乏ゆすり止めてよね」 しかし、イザークは扉の方を見たまま返事を返さない 「無視ですか・・・」 ○が諦めたように溜息をついたときドアが開いた 「遅いぞ!!」 「遅れてすみません、ブリッツの調整に少し時間がかかってしまって」 「だから、きさ・・・」 「ごめんねニコル、急に呼び出したりして」 「あ、いえ。そんなことないですよ!こちらこそ遅れてしまってすみません」 ○に遮られてしまったイザークはその怒りの行き場を失ってしまった 思わずディアッカの方を見る 「おいおい、俺に八つ当たりはよしてくれよ」 ディアッカは両手をあげて降参のポーズとった 「じゃ、皆揃ったところで重大な話があるからよく聞いてくれよ~」 「ディアッカ・・・貴様が言うと緊張感がない。それにこういうのは呼び出した本人が言うもんじゃないのか?」 おやおやとディアッカが肩を竦めると○の方を見る 「そうだよね。いいよディアッカ、ありがとう」 ○は立ち上がってみんなの前に立った 「この話は完璧に私用よ。まずそれを先に頭に入れといて欲しいの」 ニコルとイザークは小さく頷く ○は大きく二回深呼吸をした 「あたしぼ義姉妹のラクスが追悼慰霊の下見にユニウスセブンに向かう途中で行方不明になったの」 「そんな!!」 ニコルは声を上げ、イザークは目を見開く 「さっきアスランから私用の回線で通信をもらったから間違いないと思う」 「で、俺的には足つき追うのも大事だけどラクス・クラインの捜索に行きたいって思ってるんだけど」 「は、はい!僕も賛成です。ヴェサリウスに合流する前にまずゼルマン艦長に相談しましょう」 ○はイザークに目をやった イザークは目を閉じたまま何も言ってこない 「イザーク・・・無理にとは言わないから駄目ならあたし一人でもどうにかして・・・」 「・・・ふざけるな。ラクス・クラインが行方不明の時点で貴様の私用ではないだろう」 溜息をついてから目を開いて○を見る 「・・・ありがとう」 「馬鹿か泣くな。見つかってから泣け」 「そうですよ、とりあえず咲きにゼルマ・・・」 ピピピピピピピピピピ そして通信を知らせる音が鳴り響いた 三人はデッキから発進準備をしている○を見下ろしていた 「・・・大丈夫なんでしょうか、○?」 ニコルは先ほど一緒に準備を手伝うといったのだがいいから、といって断られた 本当は強引にでも手伝いたかったが何処となく○がそれ以上言わせない雰囲気を出していたので食い下がったのだ 「まさか、こんなところで○がヘリオポリスに潜入してた事が仇になるとはね・・・」 ディアッカは窓に手をついて準備をしている○に目を落とす 少しだけ動きにくそうに船外作業着で淡々と作業をこなしていた 「やっぱりザフトのパイロットスーツじゃ問題ありますもんね」 「まぁね。全く、船外作業服なんてダサいったらありゃしないな」 ディアッカとニコルが話していると急にイザークが声を荒げる 「くそっ!!アスランの奴が間抜けなのがいけないんだ!」 「イザーク?」 「ふざけるな!!何だって言うんだあいつは!!くそっ!!!!」 イザークはぼすぼすとソファを叩きはじめた 「落ち着いてください、イザーク!」 「ほっとけよ、ニコル。あいつの気持ち、わかんだろ」 「でも・・・」 「今日だけはやらしといてやれ」 ニコルにだってディアッカの言葉もイザークの態度もは痛いほど分かった やっと帰ってきてくれたのにまた何処かへ行ってしまうなんて 誰も納得いかないのは当たり前だ 「イザーク、俺は止めないけどお前だって分かってるんだろ」 「何がだ!!」 ディアッカはイザークの方を向くといつになく真剣な目をしている 「納得できないのも分かるけど、アスランだけが決めたことならまだしも、 あいつも決心したことなんだ・・・俺たちが口出しできないことぐらいさ」 イザークは唇を噛んで拳を止める 分かっている、分かっているからこそ自分の無力さが悔しい (見てみろよ、お前のせいで皆、こんなんだぜ?) ディアッカはもう一度○に目をやる こっちの状況が分かっているのかいないのか○は微笑みながら整備士と何やら話をしていた 「あ~あ、これから敵地に乗り込むってのに、どうして、笑ってられるかね」 「・・・貴様には笑っているように見えるのか?」 「あん?」 「なんでもない!!あいつは馬鹿だからじぶんがどんな目にあうのか分からないんだ!!」 どんな目 イザークの言ったその言葉に強張る 「でも、ま、大丈夫じゃないの?捕虜としてじゃないんだから」 「そうですよ、そんな・・・」 今はどんな言葉も慰めにすらならなかった 「ありがとうございます。これから乗り込みますのでハッチの準備お願いします」 ○は整備士から離れると軽く身を翻しコックピッドへ向かう トン、と入り口に着地した 「よろしくねガイア」 ゆっくりとシートに腰を下ろす 嫌味なほどしっくりくる感覚に苦笑いを浮かべた (戦いに行くわけでもないのに・・・ね) 「先の足つきへの攻撃でコチラが優勢だったにもかかわらず撤退を余儀なくされた」 「はぁ?なんでさ?」 「また貴様がきまぐれでも起こしたのだろう!!」 「違う!!・・・ラクスが・・・盾にとられたんだ」 「それは地球軍に捕まってたってことですか?」 「ああ、でも正しくは保護していたらしい」 「ふん、どうだかな。あの卑怯者のナチュラルの事だ・・・」 「イザーク!!」 「・・・っ」 「システムオールブルー」 ラクスが生きていた それは本当に嬉しい でも あたしは 「しかし、それと○とどんな関係があるのさ?」 「そうですよ、」 「・・・」 「・・・」 「俺が○を助けるところを知り合いの士官に見られたらしい・・・だから」 「?!」 「あ~こっちもラクス・クラインを返すから、そっちは○を返せって事ね・・・お前ハレオポリスで何やってたわけよ~」 「何もやってないわよ」 「地球軍が出した条件がラクスと○の交換だった」 「貴様、それを飲んだというのか!!!」 「そうだ」 「ガイア、発進準備完了いたしました」 アスランのついた嘘 あたしのついた嘘 この嘘は許されますか? ○はレバーを強く握った 右腕にはまだ痛みが走る でも、今はこの痛みを越えて行かなければならない 見据える先に広がる宇宙 その先にはまっている 望まぬ再会が・・・ 「○・クライン、ガイアでる!!」 |