出発直前にキラをカガリが抱きしめた それは全然厭らしいものじゃなくて どちらかと言うと神聖なものに思えた あたしの隣でフレイが夜叉のような顔をしたけど あの二人を見ていると仕方のない気がした それでも嫌だけど、これもどちらかと言うとフレイの気持ちのほうが分かるわけで あたしとフレイは全く違うけど あたしは どうして 結果の分かってる恋なのに捨てられずにいるのだろう Me too act2 「キラ、涙のお別れは終わったの?」 「な、何言ってるのさ?!」 キラの顔がすこし赤くなる (やっぱりからかいがいがあるなぁキラは) ぷっとは吹き出した 「・・・、からかって面白いって顔してるよ」 そんな様子を見たキラはすぐにむっとして言い返す 「ははは、バレた?」 (珍しくフレイが来ないなぁ・・・今がチャンスかな?) しばらく二人で他愛もない話をしながら歩くとは聞こうと思ってたことを口にした 「あのさ、キラなんかあった?」 「え?」 「あ、別に変な意味じゃなくこの間、帰ってきてからなんか変だからさ」 の発言にすこし驚いたようにキラは目を開く 「やっぱあったんだ?」 「・・・うん」 「わかりやすいなぁキラは」 はははとは笑って二、三歩前を歩いた 「そんなに分かりやすいかな・・・」 色々思い当たる節があるのかキラは口元を押さえて悩んだ 「あはは、そこがキラのいいところ」 からかうなって、とキラが後ろから飛びついてくる しばらく二人は猫がじゃれ合うようにふざけあっていた 「でも、そんな事いったのが初めてだよ?」 「みんな遠慮してるんだよ、あたしが厚かましいだけ」 気に障ったらごめんね、と背中を向けたまま謝った 「でも、もなにかあったよね・・・」 「ん?」 今度は顔をキラに向けた 「何?」 「何も言ってないよ」 「ならいいけどさ、悪口なら怒ろっかなって」 「僕はそんなに身の程知らずじゃないよ」 キラはから手を離しそのまま上げて降参のポーズをとる もわざと怒るポーズを取っていたがお互い慣れ親しんだ間柄の冗談で 二人で微笑んでいた 「じゃあ、あたしそろそろ持ち場に戻るから!」 「僕はデッキの方に向かうよ」 次の角でとキラは別れを告げる キラは後ろを振り向かず足音だけどが去るのを確認した 完全に足音が消えた後、キラは壁に寄りかかる 窓から見えるのは澄み切った青い空 「なんでは僕じゃなかったんだろう」 その呟きは誰に届くわけでもなく窓の外の空に消えた 「君の目にはトールしか映んないのかな・・・」 「ジープを運転しながら鼻歌を歌うなディアッカ」 イザークは眉を寄せて隣の運転席に座るディアッカを睨んだ 「ん〜♪」 やめるどころかにんまりと笑う 「今度は何だ・・・薄気味悪い」 「思い出し笑い」 「はっ勝手にしろ」 上機嫌の運転手に苛立ち気味の助手席、更に雰囲気の重い後部座席は走り続けた |